2012年12月28日金曜日

山奥のサンタクロース


クリスマスの近づいた週末のこと

ある山奥の建築現場の寮、

寮と言っても、プレハブの所謂「飯場」的なところへ無線配車があった。

あまりにも山奥で無線も通じないので、

オペレーターから電話で無線指示を受けた。

以前はゴルフ場のキャディさんの寮だったという、建物の下に車をつけて待つ。

キャディという職業の盛衰を感じつつ、

かつては、こんな山奥で若い女性が生活してたんやな・・・

と想像していたら、

怪物のような男性二人組が現れて、

助手席のドアを叩いていた。

一人は40代やろか、背はそれほど高くないが短髪でガタイも良く、

もう一人は60過ぎ(と言っていた)で、痩せ型だが背が高く、長く白いヒゲを蓄えていた。

2人のバランスは絵的に見事で、

恐らく誰が見ても、

ホーム・アローンの盗賊2人組を思い出しただろう

「運ちゃん、すごいな。よくこんなとこわかったな」

ハリー(ホーム・アローンの背の低い方)が興奮気味に乗ってきた。

「この辺りで、光のあるとこいうたら、ここしかなかったんで」

「ハハハ!運ちゃん 面白いな!動物みたいだな」

「運ちゃん」という言葉は、一応差別用語らしいが、個人的にはそれほど嫌いではない(もう少し年取ったらそんなこと言ってられへんで)。

「どちら行かれます?」

「駅の近くの、どっか女の子のいるお店行って。安いとこね」

「安いとこ」って、そこまで行くだけでタクシー料金6千円はかかるし・・・

まあ、こんなところから近距離の行く先などありえないが。

「わかりました」

「それにしても、運ちゃん若いな?いくつ?」

「それほど若くもありませんよ。もうすぐ40ですわ」

「なんだ、俺と2つしか変わらんじゃんか」

ひげもじゃのマーブ(ホームアローンの背の高い方)が口をはさむ。

しかし、この押され気味の展開だとがんがんプライベートに突っ込んでくるやろう。

こういうときは早めに押し返しておく。

「お客さん、この辺の言葉じゃありませんね。どちらの出身です?」

出身地を聞くと、大抵の人は喜んで話す。

押し返す一手として常套手段である。

「わー出たよ!『この辺の言葉じゃない』?関西弁じゃないってか!あー、関西のやつらはこればっかだよ。関西弁なんて聞いたら、俺たちジンマシンが出るわ!」

ハリーが答える。

関西弁が一部の人たちに嫌がられているのはわかってるつもりだが(「一部」ちゃうやろ)、ここまで露骨に言われるのも珍しい。

「すみません。関東の方からですか?」

「俺は香川県、このじいさん(マーブ)は栃木だっけ?」

「そう、(栃木の)那須」

マーブが答えた。

「香川県いうたら、うどんうまいっすよね」

流れに構わずどんどん押す。

「あー、また出たよ!香川って言えば、すぐに『うどん、うどん、うどん』だよ。それ以外ないのかい!」

「すみません。(香川と言えば)最近ではマンチェスターユナイテッドとか・・・」

「ハッハハ!面白くねぇ!本当に運ちゃん、外してるって!」

2人とも大爆笑。

この雰囲気、めちゃめちゃヒットやんか(正直ほんまに外すと思ったよな)。

「(ルームミラーでもう一人の客に目をやって)お客さんは栃木県ですか。栃木いうたら・・・ギョウザですか?」

やはり出身地に触れられると誰でもテンションが上がってくる。

聞いたときに出身地がどこでも対応できるように、情報を揃えておくのもドライバーとして必要な「準備」の一つである。

「運ちゃんよく知ってるね。まあ、ギョウザは最近浜松に抜かれたけどね。ラーメンもうまいよ」

「ラーメンですか」

「うん、そう。塩バターラーメンってあるだろ?あれ作ったの俺だから」

「・・・塩バターですか?あれって北海道やないんですか?」

「ちげえって!あれは那須から始まったの。那須の『どさんこラーメン』で俺が『バター入れて』って言ったのが始まり。店員ビックリしてたわ、もう40年も前の話だけどな」

「40年前と言えば・・・まだお客さん2歳やったわけですよね」

ハリー大爆笑、これもばっちりヒット。

「とにかくそこから始まったんだから。塩バターは。それまで誰もしてなかったよ。俺の実家食堂やってたから、そこでよくラーメンにバター入れて食べてたんだから」

「ほう・・・それはわたしのような運転手に言うより、もっとマスコミとかにアピールした方がいいんやないですか」

「話したよ。でも誰も相手にしてくれないんだよ。特許取っておけば良かったな」

「特許は主に技術的なものを保護する法律ですからね。本当に法律を盾に闘うのなら商標登録なんかが必要だったんでしょうね」

「あぁ、そうか。そうしたら一攫千金、今ごろ大金持ちだったのになぁ」

「まあ商標を取っていたからと言って、金持ちになれるとは限りませんけどね」

「何言ってんの。運ちゃん、堅いことばっかり言って。金持ちになりたくないの?こんな仕事(タクシー運転手)してて恥ずかしくないの?」

「いや・・・それなりに誇り持って仕事してるつもりですけど」

「ふーん、偉いね。 でもタクシーなんてみんなにバカにされてるよ。俺たち(土方)もそうだけどね」

「どうなんですかね・・・そういうの(職業差別)はわかってるつもりですけどね。でも、納得いかない部分はありますよね。ぼくらみたいな仕事、絶対必要だと思いますから。土木建築だってそうやと思いますよ」

「『だーけどー、おれたーち、いなくなりゃー(ビルも道路もできゃしねぇ)』か」

「山谷ブルースですか(お前生まれてないのに何で知ってんの?)。職業コンプレックスって、おそらく誰にでもあるのかもしれませんね」

「そうそう、みんなな、自分より下のもんを作りたいんだよ。どうせ誰もろくなことしちゃいないんだよ。女の下着作ってるような連中が、大企業だってでかい顔してな。女の浮気や借金取り追っかけてる弁護士とかさ、薬選んで渡すだけの医者とかさ、あんなの良い仕事かい?俺頭悪いけどさ、あーいうのしたくねぇ。建物作ってるのかっこいいと思ってるぜ、自分で」

「同感ですね。人を動かす仕事、道路の血液って言うんですか、自然な動きがあって、ぼくも自分でかっこいいと思ってます」

「そうそう、自分でさ、かっこいいと思えたらいいのかもな。周りのさ、バカな奴らがどんな目でみようがさ」

「『いつかー、いつか来るさそのときがー』ですか(笑)」

「『はーたらくーおれたーちの、世の中がー』」

「本当にいつか来ると思ってますよ。ぼくは」

「まあ、どうでもいいわ。お前みたいなバカなやつと話してると、酒がまずくなるわ。明日(24日)はまた大変な仕事があるからな」

注:この日は22日なので、正確には24日は「あさって」になる。

「サンタクロースですか。そのひげは」

「ところで、サンタするのにも何か法律(の規制)があるのかい?」

「不法侵入罪とか・・・あんまり高額のプレゼントを渡すと、贈与税がかかるかもしれませんね」

「お前やっぱり、面白いな。本物のバカだ」

「サンタクロースの仕事も是非タクシーをご利用ください」

 


年末3連勤の日報を今ごろ(年明け5日)になって追記アップ

12月26日(水) 日照4.3 気温4.2~-2.2
営収 29,630(6,730) 17(5)回 11.50(4.00)時間
MAX 1,990-5,350


 公休出勤やったが、

昼過ぎに相勤さんが休んでいることを知って、

15時過ぎに自分の車に乗り換え

その後17時半まで仕事なし・・・

夜はそこそこ動いたものの、

昼間が悪すぎた

12月27日(木) 日照8.3 気温6.3~-5.5
営収 34,100(12,480) 18(10)回 11.75(7.50)時間
MAX 2,390-7,350

この日は、よく冷えた

年末は「クリスマス寒波」なんてのが話題になったが、

この地域で最も冷えたのは、(気温的には)この日の朝やったみたい

仕事の方は、前日に比べて昼間もそれほど悪くなかったが、

もう少し出来た

みたいな、ちょっと消化不良の乗務やった。

12月28日(金)A 日照0.0 気温4.8~-4.4 雨7.5
営収 33,780(7,640) 21(6)回 12.50(6.25)時間
MAX 1,590-3,990


2012年最後の乗務

A駅番で昼過ぎに出庫したが、

昼間はさっぱり・・・

夜は回数はそこそこあったが、

全くあたりなく、

世間がよく動いていただけに、

ちょっと悔しい乗務やった。

しかし年末は夜に効率良く稼げるので、

もう少し(29日か30日くらいまで)引っ張って仕事しても良かったかなぁ・・・(年明けは夜も苦しいしな)

大掃除もあるしなぁ


しかし1年大きな事故なく終えられ、

タクシーの神さまに感謝

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