2012年10月30日火曜日

10月29日(月) 37点〜交渉術


タクシー料金の交渉(による値引き)は、法律で禁じられているが、

今回は、そういう話ではない。

昨晩24時過ぎやったかな

駅の先頭で待っていたら、

見た目20代後半くらいの若者が歩いてきた

ドアを開けると、

「福知山まで行けますか?」

内心びっくり、「おぉー!すげえ仕事やー」なんて叫んでいるのだが、

表面上はクールに振る舞う。

「(もちろん)行けますけど」

「じゃあ、お願いします」

車に乗り込もうと上半身を屈めてきた。

若者らしいと言えばらしいが、

ボサボサの髪である(お前もやろ)

上着はアーミー系の古着、

見た目で人を判断してはいけないが、

「あなたお金持ってますか?」

なんて聞けるはずもないので、

ある程度見た目で判断することも必要になってくる。

折しも28日には、東京から栃木の鹿沼まで約4万6千円の運賃を70歳のおばあさんが無銭乗車したなんていうニュースもあったが、

http://www.nikkansports.com/m/general/news/f-gn-tp0-20121028-1039312_m.html

こういう事件は(状況にもよるが)、

運転手にも責任がある場合もある

要するに、この若者を乗せて、「ドン!」とドアを閉め、

あとは出たとこ勝負

なんて、稼ぐ運転手はそういう対応をするのかもしれない。

しかし俺は違った。

若者が完全に乗り込む前に、

「結構(料金)かかりますよ」

「どこか(コンビニとか)金おろせるとこ寄ってもらったら大丈夫です。1万くらいかかります?」

これこれ、このやり取り(概算料金の通知)を乗る前にこなさないといけない。

「いや…1万ではとても無理です」

「2万…?」

「3万…は超えないと思うけど」

実際に「たくなび」で調べてみたら約2万6千円(プラス高速料金)ほどであった。

こういうときに、

絶対にトラブルを避けたいのであれば、多めに言うのがセオリーである

しかし、(大きい金額にビックリして)逃げられるリスクも高い

よく稼ぐ運転手はギャンブラーが多いので、

「2万かぁ…そのくらいで行けるかなぁ…どうかなぁ」

なんてとぼけて、とりあえず乗せてしまう、なんていう戦略を取るかもしれない。

そういう言い方をすれば、

「2万で行けるとは言ってないで」

という逃げ方が出来る。

実際彼は「2万なら乗ろうかな…」という感じであった。

しかし結局「3万」という数字を聞いて、

「…ちょっと考えさせてください」

と車から離れてしまい、ほどなく駅に電車が着いて、

次の客が乗車してしまったため、

彼とは永遠の別れとなったわけである

自分としては、適切な対応をしたという自負もあるが、

やっぱり(遠方)行きたかったー

という思いもないわけではない。

もっと際どいケースならともかく、

このケースは行けたかもなぁ・・・

もうちょっと攻めても良かったかも、

と少し悔いの残るケースであった(結局他の車に乗ったかもしれへんしな)。

しかし、タクシーが面白いのは、

もしあそこで、ちょっとした言い回しの違いで彼が乗車していたら

どういうことになったとしても、

俺は彼にとって一生忘れることの出来ない運転手になっていたかもしれない

しかし、実際は彼とは上のようなちょっとした会話を交わしただけで、

恐らく、いや間違いなく、

お互いの人生で2度とすれ違うことはない

そんな紙一重の淵を歩いている

そういう面白い、そして時には恐ろしい仕事なのである。


10月29日(月) 日照4.0 雨0 気温18.2-6.9
営収 37,370(13,620) 20(10)回 13.00(6.00)時間
Max 3,270-12,150

月曜というのに、

昼間も夜もよく動いた

やっと(流れが)来たか

と思ったのも束の間…

今日(30日)はまたありえへんくらいひどいわ。

10月30日(火) 日照4.8 雨0 気温18.2-5.0
営収 14,230(3,320) 10(3)回 12.00(6.75)時間
MAX 1,430-2,790


いやぁ、記憶に残るくらい

ひどい一日やった・・・

昼間は12-17時まで、きれに5時間の日干し

夜も流れ悪く、

最後は駅先頭あぶれ(自分のところで終電客が途切れること)

良い日があれば、次に崩れるパターンが続いていたが、

ここまでひどいと、さすがに嫌になるわ

2 件のコメント:

  1. ドライバーさんへ


    昔の映画で「Sliding Doors」てご存知ですか。
    レンタルで一度見たんですけど面白かったです。
    この場合のDoorsはタクシーではなくて電車ですケド。

    「もしも」の連続で私たちは生活していて後悔や安堵の
    繰り返しですね。
    商談なんかで“もうちょっと提示価額をさげていたら”
    とか、返事をあと一日早くしていたらとか。

    (まぁ、それが反省となったりスキルの一つになったりは
    しているんやけど。)

    タクシーの場合解り易いというかドラマティックというか
    「Door」が登場すると場面展開の区切りがはっきりしていて
    面白い演出効果が出てくるんかなぁとも感じました。

    ドラえもんの“どこでもドア”なんていくつになっても
    ワクワクしますもんね。

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    1. 「Sliding Door」ですか!面白そうですね、探してみます(グウィネス・パルトロー目的やろ)。

      >商談なんかで“もうちょっと提示価額をさげていたら”とか、返事をあと一日早くしていたらとか

      ありますよねー。
      ちなみに、この場合わたしは「3万は超えない」と言っていますが、これを「2万円台で行けます」と表現すると、意味は同じなんですが、相手に与える印象がガラっと変わってくるんですね。タクシーにおいては、前者は「逃げ」の言い回し、後者は「攻め」なんですね。
      要するに、わたしは(無意識に)逃げていたわけです。

      確かにタクシーにおいて、「ドア」って重要なファクターですよね。

      民法における「契約」という見方をすると、利用者の「(乗車の)申込み」に対する承諾は、「ドアを閉める行為である」と認識しています。

      そして、ドアを閉めた瞬間にドラマが始まりますよね。ワクワクしますよね・・・(冷や汗かくことの方が多いやろ)

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