2011年10月7日金曜日

危ない関係?

住宅街にはキンモクセイの香りが漂い

5日は秋雨やったものの

その後は気持ちの良い秋晴れ

昨日(6日)のこと

出庫して、病院で1回こなして携帯を見ると

着信が3回も入っている

俺の携帯にかけてくるのは、かみさんか愛人くらいである。

もしかしたら愛人かも・・・(お前愛人の番号知らんのか)

と思い、

ドキドキして着信番号にかけてみると、

おじいさんの声

「どうも・・・山村(仮名)です。今お時間よろしいですか?」

一瞬戸惑ったが、すぐに常連のおじいさんだと分かった。

「あ、どうも・・・」

客に自分の電話番号を教えることは通常あまりないが、どこがで待ちに入っていたりすると便宜上伝えておくことがある。

ちなみに決まりではないが、

ローカルのタクシー会社は共産組織に近いため

基本的に個人予約を取ると他の同僚からの冷たい視線を浴びることになる

しかし電話をくれたのが、営業エリア外であったことと

注:営業エリア外からの乗車は原則許されないが、営業エリア内に戻ってくるものであれば問題ない

先日この山村さんから本を2冊ほど薦められて頂いていたこともあり、

「わかりました。今から行きましょうか?」

「ちょっと用事を済ませたいので、15分ほど後に来てもらえますか?」

15分か・・・昼時の15分のロスは痛いが、

山村さんは元大学教授で86歳のおじいさん

とても良い方やし

その場所から山村さんの自宅までは結構離れているので、

まあまあいい仕事になりそうや

という打算も正直あった。

「わかりました」

15分待たなくてはいけないので、時間を持て余して走っていると、

牛めし240円(まつや)

という看板を見つけたので、思わず入って持ち帰りの弁当を購入した。

食べている時間がなかったわけでもないが、万が一遅れてはいけないので

時間前に指定された場所へ

「どうも!お久しぶりです」

「どうもどうも、運転手さん、お久しぶりです。お昼はまだですよね。ちょっとお食事しませんか?」

食事?

・・・全く予期してなかった展開やな(牛丼買ってるしな)

通常乗務中に店で食事を取るということは俺の場合まずないのだが、

恐らく先日薦められた本の感想が聞きたいのだろう。

ここまで来たし、

良いおじいさんやし、

まあいいか、

「・・・えー、わかりました。ちょっとその辺に車停めて来ますね」

このときも、

帰りがいい仕事になりそうや

という打算は正直あった。

そして山村さんと二人で商業施設の和食屋に入ったのだが、

年齢差約50歳

身長差約30センチ

これが親子や孫ならともかく

敬語で会話している。

傍から見たら不気味な組み合わせやろな・・・

しかも周りの席を見渡すとランチを楽しむご婦人ばかり、

そして良く見ると

隣の席の女性に見覚えがある

何と言う偶然・・・

この人誰やっけ・・・?

そうや、子供の保育園で何度かすれ違ったことがある

クラスは違うのであいさつを交わすほどの仲でもないし、

非常に気まずい状況である

相手もこっちを意識している。

そして向かいの山村さんが振ってくる。

「どうでしたか?先日お渡しした本は」

頂いた本の一冊は




実に感じが悪くなるくらいの右寄りの内容やった。

特に筆者は歴史に詳しいことをやたらとアピールしているが、

「公表されていないが実は・・・」

みたいな感じで、特に第二次世界大戦前後の日本の立場を擁護している(アメリカ・ロシアを始めとする西欧諸国を攻撃している)のだが、

(公表されてないなら)なんであんたにわかんねん

みたいな突っ込みを随所で入れたい気持ちを抑えられなかった

もう一冊は、




もうこれは完全に(反共の)宗教に近い雑誌である。

そう、本の感想は、

「そうですね。とても興味深かったですが、どちらも要するに反共(宗教)ですよね」

「そうですね、確かにそういうこと(反共)になります。共産主義についてどう思われますか?」

こんなところでなんという質問を・・・

周囲のご婦人たちの視線が集まる。

「あまり日本にはなじまない考え方でしょうけど、若い人は傾きやすいのかもしれません。あと・・・コープとかは女性に人気ですね」

「コープ?」

「いや・・・気にしないで下さい」

なるべく一般的な世間話に持っていきたいのだが、ご老人は会話の柔軟性に乏しい。

メニューを見る。

結構高い・・・

日替わり定食が980円

うーん・・・、先方はよくタクシーを利用される上流階級の方である。

あまり安っぽいものを頼むわけにもいかない

だからと言って、あまり高いものを頼むと先方が払ってくれる場合にまずい。

悩みに悩んだ挙句

「天ぷらそば(880円)でお願いします」

いい線やないか・・・

と自己満足に浸っていたら、

「じゃあ・・・わたしはたぬきそば(680円)で」

えー!

そんなんありかい。

しかもたぬきそばなのにきつね(あげ)が乗ってるやないか!(お前はほんまに関西人か)

そんなことで頭がいっぱいになりながら、

白昼の和食処でめちゃめちゃ政治議論を投げかけられ、

そういうの嫌いではないが・・・

「そろそろ行きましょか?」

「あぁ、もうこんな時間ですか。すみません、仕事中に時間取らせてしまいました」

「?・・・ご自宅まで帰られるんですよね?」

「わたしはちょっと買い物して帰ります。待たせても悪いので、今日はこれで・・・お話出来て良かったです」

「いや・・・あの・・・ぼくも良かったです」

ちなみに駐車料金300円・・・

仕事はしていないのだから、冷たい視線を浴びる筋合いもなく

「良かった」

ということであった。

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